石の枕 石の枕 石の枕

竹村健一

評論家の竹村健一氏は、本人も数えられないほどの著書をもつ。私も彼の本を何冊も読み、いろいろと学ばせられた。

その中でも、最近出された「私の心をつかんだ大物たち―一流人間生き方学」は、牧師として多くを教えられた。

以前出された「自分をもっと大きく生かせ」(三笠書房)とともに、全国の伝道者たちにプレゼントして読んでもらいたい書籍である。勿論、教会の役員さんや献身者たちにも理解してほしい世界である。

一つを紹介する。

私は昭和二十八年に京都大学を卒業すると、同じ年の七月、フルブライト留学生としてアメリカに行った。このころの日本はまだまだ貧しく、今の留学生とは違って学費をフルブライト奨学金でもらうだけで、日本からの仕送りはゼロだった。 

しかしアメリカ人は貧しい人間に対して大変親切だった。当時は週末になると、大学の構内に、「サンデーディナーを食べたい人は電話を」という掲示がたくさん出た。縁もゆかりもないアメリカ人の家庭が、われわれ留学生を食事に招いてくれたのだ。

私はその常連だった。土曜、日曜というと、たいていの場合私は、そうした慈悲深い家庭に電話をかけ、おいしいものを食べさせてもらっていた。

その代わり、サンデーディナーに呼んでくれる家庭は、まず九九%、敬虔なクリスチャンであり、したがってプロテスタントが多かった。

迎えにきてくれるのはありがたいが、食事の前に必ず教会に行く。そんなこともあって、私はアメリカにいる間中、ほとんど毎週教会に通うことになった。―

今私たちのまわりには、諸外国の人々が多くおられる。礼拝の前後に食事をしたり、交わることも主の喜ばれることである。ご家庭でビデオを用いて霊のディナーをいただくことも、ベリーグッド。

一九九三年三月二十八日

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