石の枕
菅野君のおじいさま 先日福島の特別伝道聖会に招かれた際、教会員の菅野充君(渡米留学中)のお伯父様ご夫妻とお会いし、主に在りて、楽しく有意義なひとときをもつことができた。
その際、充君のお祖父様の自叙伝「恩恵あふれて・菅野太重」をいただいた。
大正三年の夏の夜のことでした。
仕事が終わってから、ふらっと町に遊びに出てみますと、ちょうど日本銀行の前に田楽ちょうちんが立ててあり、それを取り囲むように人垣ができていました。近寄ってみますと、そのちょうちんには「重荷を負う者、悩みある者我に来たれ、我れ汝らを休ません」(マタイ十一の二十八)と書いてあり、そのそばで声高らかに話をしている人がいたのです。ちょうちんの光に照らし出されたその文字は、私の心を強く捉えました。
(大川も少年時代、ちょうちんを持って路傍伝道に励みました。このようにして多くの人が救われ落語のネタになるほど日本中に影響を与えました。最近入信された方々にも知っていただきたくご紹介いたしました。
(さて、私が感動しましたのは、この菅野氏の悔い改めのシーンです。
「あなたは、必ず今の悩みから解放されますが、それには一つの条件があります。それは今度の集会までに、自分が悪いと思った事の数々を家に帰って話し、お許しを得て来る事です。あなたはそれができますか」
そう言われましたので、「大丈夫です。今の悩みから抜け出せるならばどんな事でもできます」と私は約束して帰って来たのでした。
(決心してから、職場のおかみさん、隣のご主人等々、思い出されるままに、いちいちお詫びをして、神様からだけでなく、人からも許しをいただくことを実践しました。このように徹底的に悔い改めることが、どんなにか、本人の信仰を明確にし、祝福されるかを学びました。)
一九九三年十月十七日
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