石の枕
こなくそ 「こなくそ!」
これは松本清張の小説に出てくる中岡慎太郎臨終直前の言葉である。中岡は、坂本竜馬と並ぶ土佐藩の維新の志士。竜馬とともに宿舎近江屋滞在中に刺客に襲われ、新生日本を見ることなく死んだ傑物だ。
中岡慎太郎の脳味噌は半ば飛び出していたという。それにもめげずに言い放った火のようなことばといえる。この闘志あったればこそ維新回天の業が成ったのだろう。
西郷隆盛の言葉もすごい。鳥羽伏見の戦いで、当初薩長連合軍は寡勢のため苦戦を強いられていた。司令部にいる西郷のところに薩摩兵が援軍を乞いに走り込んできた。
「援軍な、なか。皆、死せ」
援軍などない、全員、死ね――この痛烈な言葉が歴史を動かしたのだ。
これは、ヤクルトファンではない私にとってクヤしいが、野村克也著「勝者の資格」の一部である。
野村は九五年を「がむしゃら野球」とキャッチフレーズに掲げたが、本当は「なにくそ、くそったれ野球」を連盟に届けたが、お上品でないという理由でボツにされた。
大川はこういうことばに感動する、ダビデの三勇士は、王のことばを聞いて必死にその求めをかなえた。イザヤは、天国会議の秘密を耳にして献身の生涯に入った。
私たちはキリストのことばに、その命がけのあがないの業の故に、感動してこの道を歩んでいる。
日本はいまだ一パーセントしかクリスチャンではない。断腸の思いである。くやしい。なさけない。残念。イエス様、ごめんなさい。
クリスマスは、日本中で「X」なるお方をお祝いする。こんなチャンスを活かさないでは、主に申し訳ない。しかも今年は十二月二十四日が、日曜日である。必死で祈り備えたい。千三百十名の席が満ちるように。私たちの誘いを待っている備えられた魂はいるものである。「なにくそ伝道」。
一九九五年十一月二六日
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