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夜がいい

メリークリスマス!!

イエス・キリストのご降誕の聖書の描写は、マタイ二章もルカ二章も、両方とも「夜」が舞台である。

クリスマスは「夜がいい」といわれるのは、デートのためには、夜がロマンチックとか、サンタが煙突から侵入するためには、子どもが夜、寝静まってからとかの理由ではない。

人間がもっている「夜」の問題と関係がある。

第一は、不安という夜を私たちはもっている。

今いじめが原因で自殺が流行しているが、そのほとんどの要因は、この「不安」という夜が問題である。人間はお母さんのお腹から出て以来、一日として不安が解消されたことはない。異常なほどのストレスである。

どんな明るいサーチライトをもって来ても、この深い夜から逃れることはできない。

第二は、罪という夜がある。

最高の教育を受けた人でも、自分の内側にある罪なる夜に苦しむ。

トルストイは「人間の一番恐ろしい罪は、鈍感である」といっているが、神の私たちに対する愛に気づかない鈍感さこそ、最も恐ろしい罪である。

どんなに白い絵具をもってしても、人間の罪という夜を白くすることはできない。

第三は死という夜である。

これほど恐ろしい夜はない。何の光も見い出すことができない。これに勝つことのできる文化も科学も歴史上見い出すことはできない。

死は誰にでも迫ってくる重大事であるから、笑ってごまかすわけにはいかない。どうしても対決しなければならない。しかし、本気で立ち向かったらたちまちボロボロになる。

二千年前のクリスマスにお生まれなさった主イエス・キリストは、これらの人類の避けることのできない「夜」に勝利し、みごとな「朝」を提供してくださる。折角クリスマスを祝うなら、この偉大なる光の世界を体験してほしい。祝福を祈る。

一九九四年十二月二十四日

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