石の枕 石の枕 石の枕

知ること

敬和学園から送られてくる月報にはいつも校長の榎本先生(ちいろばの榎本師の弟君)のすばらしいことばがひかる。

「知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように」(ピリピ一の九、十)。

もう十四年も前のことですが、札幌のあるスーパーマーケットで一人の中学生が万引きをして捕まえられました。盗ったものはモヤシ三袋でした。若者の万引きに日頃から腹を立てていた店長さんでした。

「今日はこの店から好きな物を好きなだけ持って行きなさい」と言ったそうです。

私はこの話を聞いて、人を導こうとするときその表面だけではなく、本当の事情を「知る力とそれを見抜く力」がなければいけないな、と教えられました。

旧約聖書の中にある「知る」という言葉はヘブル語で「ヤーダー」と言います。この言葉には特別のヘブライ思想が含まれており、「知る」ということはある事情なり、人間なりと「知り合うこと」を意味します。

ヘブル人にとって「知る」ということは、いわゆる外面的なことを知っているだけでは本当のことを知ったことにはならず、なんらかの関わりを持つことを意味しています。

神様が私たちを知っていてくださるということは、名前や住所をご存知、という程度ではない。

一から十まで全てである。だから安心して全てを委ね、おまかせできるのである。ヤーダー。

一九九三年八月十五日

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